2009年8月22日 (土)

噛み合わせと全身の関係

噛み合わせに関して専門性の高い、またとてもマニアックな大学学者ばかり集まる学会に、20代後半のころはよく参加しておりました。

例えば、ロボットにアゴの動きをさせる、その動きをさせるにはどのような力が必要で、結果どこにストレスを与えることになるか

生体から抽出するデータ(例えば筋電図やアゴ運動の軌跡や)の意味を紐解くことで、アゴ運動の解明をする、というのが主流ではありましたが、ロボットを使うことによって、任意にしかもバイアスの殆どないインプット(力のコントロール)から結果を導くことができるわけです。

 

アゴを左に動かす

ということを考えますと、左の筋肉活動が0で、右の筋肉活動が1と仮定(開口運動と閉口運動は逆ですが)すれば、左に動くことになります。

同じ運動を左の筋肉1で抵抗して、右の筋肉がそれを上回る2で活動しても同じような動きになるとも考えられます。

この左の活動1の抵抗を"異常"としますと、右の活動は効率が悪いということになり"過活動"と考えることもできます。

ロボットは疲れたとは言いません、ヒトの場合は、過活動の結果、疲労し、痛みとなる、という仮説が成立するわけです。

 

噛み合わせが肩こりや頭痛を引き起こすことがある、ということについて否定はいたしませんが、全てそうかというと疑問です。

まだ答えが出ていないと思っております。

 

噛み合わせ、と一言で表現されることが多いですが、アゴの運動を立体的に理解したり、多数の筋肉の多様な活動パターン、複数の関節の存在、そして関節自体の運動の特殊性(単なる回転運動ではないので)を考えていくと、本当に本当に難しいです。

 

ご紹介をいただく患者でも、噛み合わせに異常を訴えていても、全ての患者に噛み合わせ治療を施すわけではありません。

むしろ少ないです。

 

大竹貫洋